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Channel: 水中カメラマンのデスクワークな日々
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【世界初スクープ】海岸の潮だまり(タイドプール)で「アズマヒキガエル」の集団産卵 (伊豆大島)

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伊豆大島は、ロケでよく出かける島で、ダイビングはもちろん、日本ジオパークに認定されている火山島なので陸撮/空撮だけを目的に行く事もあります。

この冬は「椿まつり」の撮影で既に2回ロケに行っています。

「椿まつり」の期間中、伊豆大島の海の中ではイワシの「サーディンラン」と呼ばれる大きな出来事があります。

イワシの大群、それも超大群、海の中がイワシの壁に覆われる、ピーク時には島周辺のダイビングポイントのどこを潜ってイワシの壁、というくらいの超大群が近年の1月下旬から2月に見られるようになりました。

ただ、今年は群れの規模が小さくダイビングではなかなか会えないとの情報を事前に聞いていました。

群れの規模が小さいとはいえ、出現している場所では、港内や海岸の潮だまり(タイドプール)にイワシが迷い込み、網ですくって採っているとの話です。

このような話を聞いていたので、伊豆大島へ到着した当日、今まで行った事がなかった海岸へでかけた時、意識して潮だまり (タイドプール)を見て回りました。

すると、何かあまり聞きなれない生き物の鳴き声が聞こえてきました。

鳴き声の方へ行ってみると、なんと 潮だまり(タイドプール)で蛙が集団産卵をしているのです。

蛙は「アズマヒキガエル」で、通常は淡水の池・沼や水溜まりで集団産卵します。

ちなみに、アズマヒキガエルは日本固有亜種ですが、元々は伊豆大島には生息していなく、伊豆大島では外来種です。

 伊豆大島は若い火山島であり、頻繁に噴火を繰り返しているため地表は火山灰やスコリアに覆われており、雨が降ってもすぐに地中に染み込んでしまい伊豆大島には川や湖がありません。
 (川のようなものはあっても普段は水が流れていません)

つまり、 淡水の池・沼 ・   水溜まりが無い伊豆大島のアズマヒキガエルは海岸の潮だまり(タイドプール)で産卵するという環境に適応する進化をした?!という事です。

伊豆大島では アズマヒキガエルの  潮だまり(タイドプール)での集団産卵は、誰でも知っている常識なのか?

 と、最初は疑問に思ったのですが、その後、 伊豆大島在住のガイド(ダイビング/ジオパーク)さん達から情報を集めた所、誰も知りませんでした。

私が偶然発見したアズマヒキガエルの 潮だまり(タイドプール)で集団産卵は伊豆大島でも今まで誰の目に留まらなかった出来事だったようです。



以下は、あくまでも私の個人的な推測です。

アズマヒキガエルが産卵を行っていた 潮だまり (タイドプール)は、100%の海水ではなく、雨水や湧水による淡水で塩分がかなり薄められた「汽水」ではないかと推測します。

周辺の地形をよく見ると山側には深い亀裂の谷があり、 潮だまり  (タイドプール)は、砂浜の海岸に扇状に流れ込んだ溶岩の中心付近にあります。

 
(リンク先の映像を見て確認してみて下さい)

また大潮の満潮時でも潮位はこの 潮だまり  まで上がってきません。

  伊豆大島の海岸には至る所に 潮だまり  (タイドプール)が存在しますが、雨水や湧水で塩分が薄められた「汽水」の潮どまりは極めて希少で、この希少な 潮だまり  のみにアズマヒキガエルが産卵で集まるので、今まで人の目に触れる事もなかったのだと推測します。

アズマヒキガエルの繁殖期は2月というマリンレジャーのオフシーズンなのでなおさら人の目に触れにくい時期です。

 通常(関東地方での)アズマヒキガエルの産卵は、2月の暖かい日の夕方から夜の時間帯、期間は2~3日程度のようです。

  しかし、今回伊豆大島で観察したアズマヒキガエルの産卵は昼間の時間帯、期間も1週間以上観察されています。

この辺りも含めて、伊豆大島のアズマヒキガエルならではの習性をもっと深く解明すると面白いのでは?と思っています。

動画を Youtubeにアップしました。


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