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Channel: 水中カメラマンのデスクワークな日々
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「夏のエゾリス」 の動画をアップ&野生動物の撮影の話

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YouTubeに「夏のエゾリス」 の動画をアップしました。
ここのエゾリスは、比較的人に慣れているエゾリスですが、野生のリスです。
普段はわりと風景撮影ばかりしているので、たまに野生の動物を撮る時は本当に苦労します。
野生の動物の撮影は、あまり経験豊富ではありませんが、いろんな点で水中撮影(魚の撮影)と共通点を感じます。
野生の動物(水中の魚)の撮影で重要な事は何だと思いますか?

「生き物に対して、愛情をもって接する」

と言いたい所ですが、これは飼っているペットのように人間との関わりの深い場合のみ限定の話だと思います。

野生の動物(水中の魚)に関しては、

「無関心を装って接する」

これが最も重要だと思います。

野生の動物(水中の魚)、特に弱い立場の生き物は常に「外敵に襲われる危険」にさらされ警戒しながら生きています。かといって、安全な素穴にじっと籠っているわけではなく、自分も生きるために常に餌を探し求め、時には繁殖行動と、活発に動き回ります。

こういった生き物の行動をよく観察してみると、危険を感じた時の「警戒モード」と食餌や繁殖行動のような「欲求モード」を非常に短時間(数秒)に切替えながら行動しているように見えます。よほど臆病な種でなければ、過度に「警戒モード」を続けない気がします。

わかりやすい例でいえば、街中の野良猫や公園の鳩でしょう。こっちが無関心であれば、野良猫や鳩が逃げる事はありません。しかし、取っ捕まえようとした瞬間、一瞬で逃げられてします。そして、ある程度の距離をとれば、また何事もなかったように平然とします。

野良猫や鳩に限らず、野生の生き物が人間に接した時、「この人間は自分に危害を与える危険があるのか?無いのか?」を本能的に瞬時に判断している気がします。当然、相手を驚かせたら「危害を与える危険がある」と判断されてしまいます。

なので、野生の生き物を撮影する時のコツは、撮りたい生き物に対して、「無関心を装う」、「直接見ない」、「よそ見をしながらちょっとずつ近寄る」そんな感じです。

言い換えれば「殺気を殺す」。「岩になる」とも言われます。つまり「生き物ではない岩」になれという意味です。
水中写真を撮っているカメラマンを傍目から見ていると、めちゃくち「殺気が出ている人」とまったく「殺気がなく」、「もしかして死んでるの??」と思うような人がいます。前者が水中写真の初心者、後者が上級者。実際に撮った写真を見なくて、撮影している姿を見れば判断できます。

ネイチャードキュメンタリーのメイキング映像を見ると、森の中に迷彩模様のテントを張ってカメラマンはそれに隠れて撮っている様子が紹介されます。そして時には、無人カメラで撮影といったように、完全に人間の気配を消さなければいけない場合もあります。

人間に対する警戒心は、種類によって異なりますが、比較的人に慣れているエゾリスでさて、「無関心を装って接する」事が重要だと実感したのであります。




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