アクアジオグラフィックとして 3D VR180 で撮らなければならないのは、やはり水中映像です。
3Dカメラに限らずですが、カメラ/ビデオ機材のほとんどが、水中撮影用途の事なんてまったく 考慮していない設計です。
普通のカメラ/ビデオ機材でさえ水中用途で苦労する所を3D VR180 になるとなおさらです。
2023年の時点で考えられる機材の選択肢から現実的な運用を考えた上で用意したのが今回紹介する GoPro Hero 11 Black (9,10,12でもOK)で組んだこのシステムです。
画像上は、GoProの防水ケースに AOI製の 0.73倍のワイドコンバージョンレンズUWL-03を付けたものを2台並べたもの。
画像下は、MAXモジュラーレンズ対応のGoProの防水ケースを2台並べたものです。
MAXモジュラーレンズ対応のGoProの防水ケースは、純正品にはありませんが、amazonなどの通販サイトで何種類か見つける事ができます。
価格が、1台3千円前後と安いのはありがたいのですが、MAXモジュラーレンズを覆うドームポートの水中光学性能がやや難があります。
AOI製の 0.73倍ワイコンは、画角が140~150度程度なので厳密にはVR180より若干狭くなります。
MAXモジュラーレンズ対応の防水ケースは、画質にはやや難があるもののほぼ全周180度カバーします。
そして、画像下を見てわかるようにMAXモジュラーレンズ対応の防水ケースではレンズ間を寄せて撮る事ができるので、かなりの近接撮影でも、立体視3Dでは視差を小さくできます。
AOI製の 0.73倍ワイコンは、画質は良いのですが、レンズ径が大きい(約11cm)為、IPD(瞳孔間距離=レンズ間距離)も11cmと離れてしまい、近接撮影には不向きです。
水中撮影の場合、陸上風景と異なり水の透明度がどんなに良くても30m~40m、透明度が30m~40mあっても5m~10mも離れると水のフィルターで鮮明度は大きく失われます。
なので必然的に水中では被写体までの撮影距離が1m前後、できれば50cm以内、イルカのような大きな生き物でも2~3m以内が現実的な撮影距離となります。
このような事情からAOI製の 0.73倍ワイコンでのIPD(瞳孔間距離=レンズ間距離)11cmは離れすぎているのです。
そこで、3D VR180 の編集作業の前処理として細工を行います。
水中撮影では「水のフィルターにより遠景が写らない」という事を逆手に利用し、撮影映像のIPD(瞳孔間距離=レンズ間距離)を狭める=視差を狭くする、作業を行います。
3D VR180 の編集は、Adobe の After Effect で行っているのですが、細工作業を行っては VRヘッドマウントディスプレイで試写し確認し、また細工しては試写し確認をし最適な状態を探るという作業です。
あと、画像を見てお気づきだと思いますが、カメラの後ろ(ビデオライトのアーム)にいっぱいついているのはフロート(浮き)です。
カメラ機材が重いというわけではなく、フロート(浮き)を付けて上にぴっぱり上げ、相対的に重心を下にする事で、昔ながらのスタビライザー効果を得る事ができます
先週の伊豆大島ロケの「3D VR180の水中映像」をYoutubeにアップしました。